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そこへ訪れると、どんな動物、品物でも人間に変る不思議な診療所。そこで先生を務めるフェイは、カルテのルル、体温計のヒスイ、聴診器のジーナと暮らしていた。


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めでぃかる!
神代 明 イラスト/ヒナユキウサ
定価560円(税込)
あなたの心を癒します♪
そこへ訪れると、どんな動物、品物でも人間に変る不思議な診療所。そこで先生を務めるフェイは、カルテのルル、体温計のヒスイ、聴診器のジーナと暮らしていた。前触れもなくやってくる患者たち。彼らはフェイの治療を受け、心身の傷を癒し、また元の世界へと戻ってゆく――。新感覚ハートフルストーリー。
 
モノクロ「ルル、……大丈夫か?」
「はい、大丈夫です」
 寒さと運動でほんのりと頬を蒸気させたルルは元気いっぱいに微笑み、差し出されたフェイの手を両手で握った。
 手袋越しに、じんわりと温もりが伝わってくる。その温かさと柔らかさにフェイは安堵し、口元を綻ばせた。
 フェイの一族――黒の末裔が持つ力の一つは、自分が選んだ職業に属する器具などの人化だ。それは一族が背負った罪を贖うための協力者を作る力。人化した器具達は人の姿を持つが完全な人間になったわけではない。本来の能力を強く、更に広範囲に扱える精霊のような存在といえた。
 その力で主を助け、当代が後継者に職務を譲り、お役御免になった時、本当の人間となるのだ。
 ただ、人化したての頃は不安定で、当代の力が及ばぬところでは元の姿に戻ってしまう。元の姿に戻るだけならばいいが、悪くすれば消失してしまう場合があった。
 十年前、六才のフェイが何も知らずに人にしてしまったルルは、一度、消えかけた。
 あの時の不安が未だに拭いきれないフェイは、ルルをあまり遠出させたくないのだが、当の本人が「もう世界の果てまで行っても平気です」と無理矢理ついてきたのだ。
 フェイはルルが間違いなくそこにいることを確かめるように、空いている左手でルルの頬を撫でる。ルルはその手に自分の手を添え、優しく、安心させるように囁いた。
試し読みはこちら
http://books.shueisha.co.jp/tameshiyomi/978-4-08-630409-2.html
(C)ヒナユキウサ/集英社
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